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水のおかわりは大丈夫ですか

前回の「形容詞」に続いて、言葉の話です。以前から気になっていた言葉が「大丈夫」です。言葉の使い方は変化していきますが、本来と違った意味で使われるようになった、言葉の1つです。

広辞苑では「地震にも大丈夫な建物」など、「しっかりしているさま、堅固なさま」という具合に「丈夫で強い」が第一義にでてきます。また三省堂国語辞典では「頭の怪我は大丈夫ですか」のように、病気やケガ、障害などが深刻でないようす、または「天気は大丈夫かな」など不安や心配がない様子、とあります。

つまり、「大丈夫」とは、「強く、しっかりとしていて、確信が持てる状態」、さらに「安心」をも保障する「危険のない状態」のことです。

 

ところが最近の使い方を挙げます。

(例1)

元気のない部下を気遣って、行きつけの焼き肉屋に行った上司との会話

上司:「どうだった?あそこの肉は?」

部下:「大丈夫です」

(例2)

ドラッグストアなどでのレジの担当者からの会話

店員:「ポイントカードは?」

客:「大丈夫です」

店員:「レシートのほうは大丈夫だったでしょうか?」

客:「大丈夫です」

店員:「レジ袋は大丈夫ですか?」

客:「大丈夫です」

(例3)

保険外交員が、保険加入しているお客様との会話

外交員:「お入りいただいていた入院保険はいかがでしたか?」

客:「はい、大丈夫でした」

外交員:「この際、奥様の分もいかがですか」

客:「それは大丈夫です」

 

これらは、「大丈夫=不必要」と使うようになったのです。

イエスも、ノーも、必要も、不要も、うまいも、まずいもなんでも表現できる万能言葉です。

しかし、ビジネスシーンでは使う場合は日常より丁寧な扱いが必要です。

(例4)

仕事の進捗具合を尋ねた上司と部下の会話

上司:「仕事の進捗具合は進んでいますか」

部下:「大丈夫です」

この「大丈夫」は、ほとんどできあがりつつあるか、もしくはまだ半分しか進んでいないのに、順調に進んでいます、ということなのか、誤解が生じる恐れがあります。

 

だいぶ長い前置きになってしまったのですが、障害者に体調をきくと「大丈夫です」と返ってきます。

その「大丈夫」は、安定しているのか、いつもの低飛行状態なのか、相手を不安にさせないためなのか、言葉だけではわかりかねます。

 大丈夫です、の次に会話をつなげるといいと思います。

どう大丈夫なのか、どうダメなのか、それを積み上げていくと、どのときに好調なのか不調なのか、次第にわかってきます。

 

「水のおかわりはいかがですか?」、これが本来の使い方です。

モヤっとしている体調を、「大丈夫」を正しく使うことで、スッキリするかもしれません。(管理人)