障害者雇用の仕事の創り出し・洗い出し


「障害者をどのような職務に従事させたらよいでしょうか」という問合せがあります。答えは「一人ひとりの状況に応じて職務を決めます」。障害者に向いている仕事、向いていない仕事というものはないと考えたほうが良いでしょう。

各障害の特性により不向きな職種もありますが、障害の種類や程度だけで決めるのではなく、一人ひとりの障害状況に加え、スキルの習得状況、本人の希望・意欲などから総合して決めていくことが良いでしょう。

障害者雇用においても、一般雇用と同じく、「業務優先」で考えることが望ましいでしょう。障害者が担う業務を先に決め、その業務に従事可能な方はどのような人材か…障害特性や志向、必要な能力は配慮を人材要件として定めます。

この作業は丁寧に行うことが大事だと思っています。

とりあえず採用してから、その人に合った業務を提供すればいい、と話す企業の方はいます。また法定雇用率達成のために、業務よりも必要な人数の確保を優先させてしまい、採用したものの、本人のスキルと業務内容が合わずに、すぐに辞めてしまった、など。そうならないように、業務は決めておきましょう。


事業所内の仕事を再確認して、可視化する。


障害者の志向にあった業務を用意するためには、既存の業務から簡単な業務を洗い出す必要があります。「業務の洗い出しができない」「特殊な業務だから」「専門性が高いから」という理由ですが、その業務のなかにも、必ず定型業務や覚えやすい業務があるはずです。たとえば顧客管理の業務を、以下のように細分化します。

このように、業務内容を作業レベルに分業し、タスク化することで、障害者が取り組みやすい作業が見えやすくなります。


仕事の創り出しに活用できるツール


①職務選定に係る整理票

事業所内の仕事内容を再確認して、業務の見える化をしてみましょう。

知的障害者や精神障害者も含めて配置を考えていくことから、職務を整理したのち、

(1)判断要素が少ないこと

(2)納期に縛られないこと

(3)作業内容の変化が少なく、恒常的に作業量を確保できること

を選定ポイントとして、障害者が従事する業務を決めます。

作業名

作業内容

(行程など)

要件1

(身体負担)

要件2

(理解・判断)

要件3

(コミュニケーション)

要件4

(資格・スキル)

時間頻度 施設設備 適・否

(例) 

部品の検品

部品形状や傷の確認 普通 必要 必要 不要 終日  

(例)

配送用の段ボール準備

配送製品に合わせて段ボールを組み立てる 負担やや大 不要 不要 不要 随時  

(例)

指示書作成の数値入力

エクセル帳簿に商品№、個数、日付を入力 負担少 必要 必要 PC操作 随時  

②社員に対するアンケートの実施

社員全員に対してアンケート調査を行ってみると、特別なスキルを必要とせず、知的障害者や精神障害者を含め、様々な障害者が従事できる職務を創り出せるかもしれません。

番号 作業名 内容・手順 難易度 頻度 時間帯 時間
 (例)1

郵便物の仕分け

部署内に配達

郵便局に行く

郵便物の取扱い 普通 毎日

13時~14時

1~2時間
(例)2

書類のファイリング

電子化作業

書類のファイリング

紙書類をPDFにスキャンしデータ保存

普通~難 随時

随時

随時

上記のように仕事を創り出し・洗い出したのち、一週間のタイムスケジュール(時間割)を作ります。

仮に就労時間数を週20時間、1日の勤務を5時間、1週間4日の勤務で作成します。

細かい時間配分でスケジュールを作成してしまうと、就労者本人だけではなく、指導員役の従業員が時間に追われてしまいます。はじめのうちは多少のゆるみを含めて作成すること、また通常より業務量が少なくて、予定より早く終了してしまったときには、他の業務を任せることができるようにしておくとよいでしょう。

就労者が業務に慣れてくれば、時間内に終了しますので、新たな業務を指示できるよう、準備しておきましょう。